2012年 07月 18日
ガイドナーはなぜ今LIBOR不正をリークしたか?
バークレイズ前COO「 金利操作、英中銀指示と認識 」
ガイトナーはバークレイズのLIBOR不正操作を
何故今になってリークしたのか?
パックス・アメリカーナの近未来
「 イングランド銀行:世紀の大犯罪 」で、 LIBOR不正操作事件の首謀者はイングランド銀行( 英国中央銀行 )であると指摘しましたが、バークレイズ銀行のデルミシエ前最高執行責任者( Chief Operation Officer )は、16日、英議会の公聴会で、「 偽装は、イングランド銀行(英中央銀行)の指図に基づくものだと考えていた 」と発言しました。
バークレイズ前COO「金利操作、英中銀指示と認識」
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1603T_W2A710C1FF8000/
日経新聞
2012/7/17 1:31
英議会の特別委員会は16日夕(日本時間17日未明)、
英大手銀行バークレイズのデルミシエ前最高執行責任者(COO)を
召喚して公聴会を開いた。
デルミシエ氏は2008年秋にロンドン銀行間取引金利(LIBOR)を
低く偽装するよう行内に指示したと明言。
偽装は「イングランド銀行(英中央銀行)の指図に基づくものだと考えていた」
と語った。
中銀幹部の電話を受けたバークレイズ首脳から
「申告金利を下げるよう政治的圧力がある」と聞いたとも証言。
中銀幹部の発言の解釈を巡りバークレイズ前経営陣の説明にズレも見られる。
金融危機が起きた08年秋の操作は銀行の資金繰りに余裕があると
見せかけるのが目的だった。(ロンドン=上杉素直)
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これに対して英中銀のマーヴィン・キング総裁は、翌17日の公聴会で、「 LIBOR 不正操作は、英FSA( 英金融サービス機構 )の調査が公表された2週間ほど前まで知らなかった 」「 ニューヨーク連銀からの問題提起は一切なかった 」と発言しています。
キング総裁は、1990年からイングランド銀行に所属し、98年に副総裁、03年6月から総裁なので、問題の08年は最高責任者でした。( 任期は13年6月まで )
英中銀総裁、不正操作「最近まで知らず」 LIBOR巡り証言
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1706B_X10C12A7MM8000/
日経新聞
2012/7/17 23:03
ところが、08年6月1日、当時NY連銀総裁だったガイドナーは、「 マービンへ 」と、キング総裁のファーストネームで始まるメールに 「LIBOR改革の提案」と題したファイルを添付、「 どんな制度変更が可能か知らせてほしい 」とメッセージを送っている。 そしてキング総裁からは2日後に「 我々にも納得できる内容だ 」との返信を受けている。と、ニューヨーク連銀は13日、文書を公開しています。
英銀行員が密告 「LIBORは正しくない」
07~08年、NY連銀が資料公表
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1401K_U2A710C1FF8000/
日経新聞
2012/7/14 22:40
公開された資料は80枚以上。
事の発端は、07年8月、連銀あてにバークレイズの行員からメールが舞い込んだところから始まる。
LIBORがなぜ非現実的に低いのか、考えてほしい。
各銀行が、英国銀行協会に「 この金利で資金を借りることができる 」と
報告した数字と、市場の実情が違うと指摘。
9月にも別人と思われる行員から「 同行より健全性で劣る他行が、経営を不安視されないよう低い金利を提示している 」とのリーク情報。
連銀は事情を探るため同年12月と08年4月、バークレイズ行員に電話を入れる。
4月11日の電話では連銀担当者の英国流の発音に行員が喜び、「 正直なLIBORを提示していないのは分かっている。かなり居心地は悪いよ。 」と。
数日後アメリカの新聞が「 LIBORは市場の実態を反映していない。」との記事を掲載( nueq註:これは連銀 or FRBが書かせたものだろう。 またことによるとバークレイズ行員のリークにも米当局による事前仕込みがあったのかもしれない。)し、連銀は本腰の対応を迫られ、「 LIBORに関する市場の懸念 」と題した10ページの報告書をまとめる。表紙には「 機密―配布禁止 」と書かれ、LIBOR虚偽報告の可能性と改革の具体策も盛られている。
( 以上 日経新聞記事の要約 )
さて、問題は、なぜ、この時期になってガイドナーはこの問題をリークしたのか?
「 イングランド銀行:世紀の大犯罪 」で、ゴールドマン・サックスが問題銀行の中に含まれてない不気味さを指摘しておきましたが、5月に書いた「 ギリシャ真話: 支援金食い逃げでユーロ解体の老獪 〜 ドイツ第4帝国とGS帝国の共同謀議 」 では、ユーロ危機はドイツとゴールドマン・サックスの共同謀議が創りだしたもの。との分析を紹介しています。
そこに昨日、増田俊男さんからの「 時事直言 」に「 ガイトナー米財務長官はバークレイズ銀行のLIBOR(ライボー)不正操作を何故今になってリークしたのか? 」と題した面白い記事が舞い込んできました。
ちょっと長いですがとても重要なので、ほぼ全文転載します。
◆ アメリカのイラク攻撃(2003年3月)の真相!
欧州債務危機問題の根底にはアメリカと欧州の「水争い」
(資本市場の利権争い)があった。
2001年の9/11(セプテンバー・イレブン)前のEU(欧州連合)発足時から
アメリカが2003年3月イラクを攻撃するまでは
EU(欧州連合)はアメリカに対して優位に立ち
フランスはイラクの広大な油田の利権を手中に収めサダム・フセイン大統領に
イラクの原油取引通貨をドルからユーロに切り替えさせた(2000年11月)。
毎日約300万バーレル分の原油取引がユーロの需要増大化に繋がり、
発足当時(2000年前後)1ユーロ=0.90ドル台であったユーロは
2001年から急速に上がり始め遂に1.70ドル台までに達した。
さらに前フランス大統領サルコジはシラク元大統領以来の対米大野心を抱いていた。
それはユーロと中国人民元のペッグ制を敷くことで
ドルの基軸通貨制をアメリカから奪うことだった。
正に中国と組んだアメリカの生命線への挑戦であった。
そこでアメリカは戦後(1946年)の
ガリオア基金
(Government Appropriation for Relief in Occupied Area Fund)
=占領地域救済政府援助基金
=占領地域の飢え、病気、社会不安を除く為の食糧、医薬品、石油、肥料等
生活必需品緊急援助
と
エロア基金
(Economic Rehabilitation in Occupied Area Fund)
=占領地域経済復興資金
=占領地域経済復興の為の資金、原材料、生産機械等の緊急援助
で敗戦国(アメリカの属国)日本と同様今日の繁栄を築いた
属国ドイツと組んでフランスの野心を葬り去り、
さらにドイツと共に欧州を統一する決意を固めたのである。
アメリカが目的を達成する時は、丁度日本を真珠湾攻撃に誘導したように
必ず相手に挑戦させてから叩くのが「決まり」である。
フランス(サルコジ前大統領)は日本の大東亜戦争突入同様
派手な対米挑戦に誘導され敗れたのである。
その結果、一時は「21世紀のあるべき政治体制の成功モデル」とまで言われた
ユーロ体制は崩壊に向かう(※)のである。
それは戦前日本が大東亜共栄圏の盟主になるなどという話と同じこと!
2003年ブッシュ米大統領が大量破壊兵器などという
根も葉もない理由と数々の作り話(イラク兵が病院で赤子を殺害した
という証言や炭疽菌を輸送するトラックの映像)でイラク攻撃を開始、
イラクを事実上支配するとイラク原油決済通貨はユーロからドルになり
ユーロは対ドルで下落し始めた。
ユーロ圏の金融資産価値激減で2008年頃から
ユーロ加盟国のギリシャ、アイルランド、ポーランド等が相次ぎ
財政危機に見舞われ、さらに信用不安はスペイン、イタリアに波及、
ユーロ加盟国は経済主権を捨てて
(アメリカがバックの)ドイツの支配下に統一されようとしている。
今や欧州資産のドル資産へのスワップ(切り替え)が加速、
欧州資産は日増しに縮小している。
アメリカはドイツによる欧州経済統一を支援しながら
ユーロ・ネクスト(欧州株式市場)をドイツと共にコントロールし、
事実上欧州市場の押さえに向かっているのである。
(ドイツのみならず日本を巻き添えにしたアメリカの世界戦略、
特に対中国懐柔戦略の詳細は次回の「小冊子」(Vol.38)
“アメリカから見た戦後日本の大総括”で述べる)
◆ ガイトナーはLIBOR不正を何故今リークしたのか?
LIBORとは世界の銀行間取引の標準金利のことで、
世界の主要16銀行が自行の金利コストをBBA(英国銀行協会)に届け出をし、
その平均金利がLIBORとして公表される仕組みになっている。
実際は上位4行と下位4行を除いた中間の8行の平均金利がLIBORになる。
この計算と公表はBBA公認の英国のThomson Reuter (トンプソン・ロイター)が
代行している。
世界中の金融機関はLIBORを基準に取引金利を定めていて、
その年間取引高は約360兆ドル(約3京円)である。
英国のバークレイズ銀行は2008年からLIBORを不正操作してきたことを認め
$451.4million(約360億円)の罰金を払うことになったが
LIBOR操作は一行だけでは出来ないので
バークレイズ銀行だけの問題で終わることは無い。
英米当局が調査に乗り出しているが
アメリカのガイトナー財務長官がまだNYの連銀総裁であった2008年6月、
BANK OF ENGLAND(英国中央銀行)に特定の加盟銀行に有利になる
LIBOR操作が横行するような制度は改革すべきだと求めていた。
当時のガイトナーNY連銀総裁は2008年4月以降バークレイズ銀行の
複数の職員からのLIBOR不正操作に関する内部告発の録音を入手していた。
今後ガイトナー長官は米議会で追及を受けることになるが、
バークレイズ銀行をスケープ・ゴート(生贄)にして
マスコミにリークしたのは当の米財務当局である。
その煽りを受けて英国当局はLIBOR談合・操作の捜査に
追い込まれる羽目になったのである。
今回のバークレイズ銀行スキャンダルで市場は大混乱に至らなかったが、
英米捜査当局により「2005年以来の驚くべきLIBOR操作(談合)の全貌」が
明らかになると(本年9月末の予定)市場は大混乱し
米議会やFRB(米連邦準備理事会)ばかりか主要国の中央銀行や財務当局で
LIBOR採用の是非が問われることになる。
何兆ドル(何百兆円)という戦後最大の不正事件の実態が明らかになると
LIBOR管理国である英国の信用は失墜、大英帝国以来の
伝統的特権LIBORに終止符が打たれることになるだろう。
FRBが待っていましたとばかり
新たにNYBOR(New York Interbank Offered Rate)を
世界に提案するのは目に見えている。
世界の金利決定の特権はかつてのパックス・ブリタニカ(大英帝国London)
から現在のパックス・アメリカーナ(米国New York)に移ることになるだろう。
これでアメリカは株式、商品市場に加えて大英帝国以来の
「世界の金利操作の特権」を引き継ぎ世界の富を吸い上げることになる。
敗戦国日本はアメリカの国益の「都合」で、
自らの国民の生命財産を守ることが出来ない主権無き亡国になり下がっているが、
アメリカの「都合が変わった」!
目的の為には手段を選ばぬアメリカの都合で日本が変わる!
と、前半部分は「 ギリシャ真話 」で行った分析とほぼ同様の見解が述べられていますが、僕の分析は公開情報から見えてくる「 分析 = 推測 」だったのと違って、増田さんは米欧イスラエルの黒子に太いパイプをお持ちなのでどうやら僕の分析の正しさが証明されたということでしょう。(^o^)v
∈ 情報を時系列に並べてみる( 歴史 )と、大きな流れが見えてきます。
配置されている人間を見ると、構造が見えてきます。
そして最後に最大利益を享受するのは誰か?
これが見えてくると、最大受益者の動機も同時に見えてきます。
これが「 歴史に学ぶ 」と云う手法の一側面です。
マスゴミやネット情報の操作情報に踊らされず、
事実だけを並べて、自分の頭で考えてみましょう。
すべてが「 裸の王様 」になります。
但し、(※)は、ちょっと見解が異なります。
どこかで書きましたが、ユーロ体制自体が構造的に崩壊の火種を内包したまま発足しているからです。
尤も、その崩壊を石油決済通貨剥奪が早めたのは事実です。
現在の通貨体制は、ニクソン・ショック以来 「 金本位制 」 から 「 石油本位制 」 に切り替わっているのです。
後半部分の注目点は「 NYBOR(乳房?) 」にあります。
これもまた「 イングランド銀行:世紀の大犯罪 」で指摘したゴールドマン・サックスの不気味と軌を一にするものです。 実はFRBの問題と野望に関して先日来書こうと思っているものがあります。 まさにそれを暗示させる増田さんの一文となりました。
アメリカ帝国・FRBは、何を狙っているのか?
物事には 理解を深めるためにも順番というものがありますので、その公表は経済・金融関係に関しては次々回になるかと思いますが、乞うご期待!
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