2012年 01月 10日
本格派 アイスバインの作り方
半乾式 : ワイン党・ビール党の為のアイスバインのレシピ
いきなり男の料理教室です。 (^o^)ゞ
本当は秋の夜長に彼女とワインでも傾けつつ、、、と書きたかったんだけど、
気がついたらいつの間にやらお正月越え。
アイスバインってご存知でしょうか?
ドイツ料理屋やビヤホールで、一番高いメニューのあれ。
ボリューム満点・迫力満点・香り豊かな豚の骨付きスネ肉を茹でた料理です。
慣れてしまえば仕込みは至って簡単!
自分で作れば美味しくてリーズナブルで、そしてガールフレンドも友人も家族も「 オオッーーー! 」と歓声を上げてくれること必定のひと品。
銀座のライオンとかでたまに食べることはあったけど、自分で作ろうとは思わなかった。
ところが、奇しくも昨年のお正月に「 あの 」気仙沼に行った(その2ヶ月後に壊滅してしまうとは。。。。)際に、立ち寄ったのが一関の蔵元レストラン:せきのいち。
ここのアイスバインがメチャ美味しくて俄然自分で作ってみる気になったのです。
銀座のビアホールと云えば、かつて6丁目に「 ピルゼン 」と云う老舗があって僕はそこの常連だった。 昼下がり、まだほとんど客のいない閑散とした修道院みたいなお店で大きな白木のテープルにビアジョッキを降ろすと、コーーーンッって鳴り響いて、まるで銭湯で木のたらいを置いた時のような音がたまらなく好きだった。 そこが僕のお気に入りの読書室。 ある時、友人の紹介で出会ったやつが、なんと、そのピルゼンの創業者の孫だった。 おじいさんがロシアの亡命貴族で神戸に上陸後、東京銀座であのお店を開店したそうだ。 見るからにそのまんまヘルスエンジェルスみたいなクォーターの彼を伴ってお店に行った時の支配人たちのビックリした顔が今でも思い出される。
長いこと、なぜ「 アイスバイン 」って云うのか不思議でしょうがなかった。
ネットで調べてやっと解ったのは、鍋の茹で汁が冷えて表面がまるで氷が凍ったかのように真っ白になるから。いやホント、まさにその通り。 翌朝真っ白になったその寸胴鍋の表面は、まるでスケートリンクのようで、思わずシューズを履いて滑りたくなってしまうほどです。
では、まずは材料の調達から。
◆ 材料
・ 豚の骨付きスネ肉(1.3〜1.8kg )
これで、2〜4人が十分に満足できる量ある。
余ったら2〜3日かけてゆっくり愉む。
アメ横デパートの地下なら、100円 /100gくらい。
3〜4軒が置いてるので色の良いものを選ぶ。
一般的には入手しにくいのでネットで購入するか、
近所の肉屋で取り寄せてもらう。
上記の写真は、1.5kg。
いつも買う1.7~8kgクラスのお店は休みだったので別の店で買ったが、
いつものお店の肉の方が味が濃厚。
今回のお店のは油がさっぱりしてて、食べやすい。
・ 美味しい塩( 肉の重量の約7% )
・ 砂糖(漂白してないのがお薦め:塩の10〜50%くらい)
・ ナツメグ、メース、シナモン、粉末セージ、ブラックペッパー
・ ローズマリー、タイム、セージ、ジュニパーベリー、クローブ、ニンニク
ジュニパーベリーは有名スーパー・百貨店、或いはネットで。
ネットが安いので良質なふわふわセージ等と併せて買うと良い。
・ くず野菜
アイスバインの作り方には、湿式と乾式があるようだが、ここでご紹介する作り方は「 BBQハウス 」の乾式自己流レシピが基本。
一時、このサイトが消えて慌てたことがあったので、ミラーサイト的にそのレシピを掲載しておかねばと思っていたのです。そのBBQハウスさんの作り方からスモークの手順を省いたものをご紹介します。
◇ 手順
塩漬け → 塩抜き&ハーブ水漬け込み → 茹でる
の工程で、10日〜2週間程かかります。
BBQハウスさんの場合は、ハーブ水の後に薫製工程が入ります。
◆ 塩漬け
・ 塩が染み込み易いように、アイスピックや筋切り・フォーク等でブスブスと
穴だらけにする。
アイスピックを買う際は、必ず長いやつを。
短いやつは氷を割る時、割りにくいし、かえって危険。
握り方さえ知ってれば、氷の厚みに自在に対応出来る長いのが断然良い!
・ 肉の重量比7%の塩と、塩の10〜50%の砂糖、ナツメグ、メース、
シナモン、粉末セージ、黒コショウ(ミル引きで香り高く)を
混ぜ合わせたものを肉に摺り込む。
∴ 砂糖の比率:BBQハウスさんは50%、僕は10〜15%。
岩塩には通常カドミウムが含まれていることが多いが
このモンゴルの岩塩には含まれていない。
パスタを茹でる時は、海塩より岩塩の方が表面の締りが良い。
海塩だとどうしてもべたつき感が残る。
安いので重宝している。クィーンズ伊勢丹にある。
卸し金に載ってるのはシナモンとナツメグ。
どちらもたまたまホールがあったので。
昭和のカクテル飲みは、Barに行く時は、
この小型の卸し金とナツメグをポケットに忍ばせていたのである。
・ 冷蔵庫で1週間〜10日。
※ BBQハウスさんは、バットにステンの網を敷いて、その上に塩をまぶした
肉を乗せてるようだが、冷蔵庫のスペースに余裕がなく(結構デカイ!)、
臭い移りが気になる僕は、浅草橋のシモジマで大きく厚手なビニール袋
(ヘイコーポリ:46×60cm, 0.06〜8mm厚, 50枚入り)を買って来て
その袋に入れてよく空気を抜き、キリキリと袋をねじって
でんぐり返してまたキリキリとねじっておく。
こうして二重袋にしておくと、空気が入らず水も外に漏れない。
もちろんジッパー付きの大きなビニールでもOK。
但し、塩抜きの際、スープも入れるので大きめを。
これを紙の箱でも100円ショップのプラ容器でも入れておけば
冷蔵庫の中でコンパクトに収まって邪魔にならない。
厚手の大きなビニール袋は色々使えて便利だ。
◆ 塩抜き&ハーブ水漬け込み
・ ハーブ類( ローズマリー、タイム、セージ、ジュニパーベリー、クローブ、
ニンニク、黒コショウ、屑野菜など )を煮立ててハーブ水を作る。
( 野菜は何でも良いが、味の好みから僕は、 タマネギ 、 セロリ、 ニンニク、
ほんの少量のニンジンを使っている。セロリが何とも良い香りを醸し出す。)
・ スネ肉を水洗いして表面の塩を流す。
ビニール袋も洗っておく。
・ ハーブ水が冷えたら、ビニール袋に肉とハーブ水を入れて
またキリキリと2重に絞めて冷蔵庫へ。
液漏れしやすいのでご注意。
・ 3〜4日で出来上がり。
※ 乾塩法でスパイス使った後にハーブ水に漬け込むのは、
BBQハウスさん独自の手法。
ハーブ水に漬けてる間に肉から塩が出てくるので、
これは塩抜きを兼ねた湿塩法になってます。
乾塩法の方が腐敗のリスクが少ない。
最初乾塩法で水分と血をしっかり抜く事で
その後の湿塩法での腐敗リスクが軽減できる。
時間をかけて塩抜きすることでハーブ水と肉の塩分濃度が近くなるので、
ハーブ水を味見することで肉の塩抜き加減が予測できる。
(しょっぱそうだったらハーブ水を追加するなどで調整が可能)
スパイスは乾塩法の方が、生ハーブは湿塩法の法がやりやすい。
とのことです。
少なくともこの手順にしてから腐敗させた事はないです。
はい、僕も腐敗させたことはなく、いつも素晴らしい仕上がりです。
ハーブ水漬け込み日数が少ないと、塩加減の調整に失敗することはあります^^;
あわてず、じっくり、食べる日から逆算して仕込みましょう。
◆ 茹でる
・ 茹で時間は3時間。
茹で過ぎるとパサつき感が出てきます。
食べ始める時間を逆算してかかりましょう。
・ 浄水器に通した水を寸胴鍋に張り、少量(お好みの量)のハーブ水を加え、
水から茹でます。
・ 沸騰したら、丹念にアクをとります。
丹念に取れば、その後は3時間ほったらかしで大丈夫。
BBQハウスさんは、カップ1杯のハーブ水を加えるようですが
僕は15〜20%くらい加えてハーブの香りを強めに出してます。
また、 BBQさんは、保温鍋ですが、僕は寸胴鍋に蓋をして
爪楊枝の先を噛ませて超とろ火で茹で上げています。
80〜90℃の温度でもいいようです。
決してグラグラとはやらないように。
・ 終わり頃、付け合わせのジャガイモやタマネギ、ニンジンを
茹でても良いでしょう。
ジャガイモは1時間も茹でれば十分です。
◆ 食す
迫力満点のでっかい肉のかたまりを「 大きなお皿 」にデンッと乗っけてテーブルへ。
みんなの目が輝く瞬間です!
日本人は目でものを食べる民族です。
料理がおいしそうに見える最大の秘訣は、器の大きさ。
大きなお皿を使う程、料理は美味しそうに、立派に見えるのです。
30cm以上のシンプルなお皿を用意しましょう。
IKEAなら32cm皿がとってもリーズナブル。
周囲にローソクを一杯灯しておけばムードも満点!
そして、ヨーロッパでは肉を切り分けるのは男の仕事。
カッチョ良く肉を切り分け、各自にサーブします。
この時、ネットのアイスバインの紹介写真にある様に、肉筋に直角にナイフを入れてはいけません。 筋に沿って肉をはずすように切り取って行きます。
アイスバインの魅力は、肉もさることながら、なんといっても皮とゼラチン質!
この3点セットを豪快かつ繊細にサーブします。
この時、友人からブーイング。
ったく、撮影ばっかりして、一体いつになったら食べれるんだ!
早く食べた~~~いッ !!!
ワインは赤でも白でも、勿論ビールも良く合います。
白はシシリーなどの強いのがお薦め。
パンはドイツのライ麦のずっしりジットリしたのに美味しいバターをたっぷり塗って食べるのが一番合います。 勿論、皮がガリガリのバゲットやパンドカンパーニュも(柔いヤツはお話しになりません)。こちらはステーキパンで切り口に焦げ目を入れると見た目にも美しく一段と美味しくなります。
どうぞ、至福のひと時をご堪能あれ。
茹で汁は、塩コショウで味を調えてスープや、リゾット、ヌードルに!
アイスバインのスープにはシャキッとした紫玉ねぎや玉ねぎのスライスとパセリのみじん切りが抜群の相性。 ヌードルにするには、そうめんや台湾そうめん、ライスヌードルがよく合います。
2013年12月19日 追記
茹で汁で作った雑炊、絶品です♪
材料 鶏もも肉( 小さいブロックでも大きなブロックでもお好みに )
鶏ガラ顆粒
鷹の爪( 爪楊枝で穴を開けておく。中の種が一番辛い )
クローブ、ブラックペッパー( 粗挽き )、マスタードシード
ニンニク( 包丁の腹で小さく潰す )
セロリの葉
野菜( 適当だが今回使ったのは下記 )
筍、さやいんげん、京人参、
セロリ、紫玉ねぎ、スナップエンドウ、えのき茸、
水菜、パセリ
作り方
1)鶏モモ肉に、塩・ブラックペッパー・コリアンダーパウダー
2)パン( 中華鍋など、鉄製が最適 )を熱し、オリーブオイルを敷き、
1)を表面がこんがりきつね色になるように強火で炒める。
3)火を弱めてクロープ・マスターシード・鷹の爪・ニンニクを加えて軽く炒める。
4)アイスバインの茹で汁を入れる。
5)鶏ガラ顆粒を加えてしばらく豚と鶏をなじませる。
※ アイスバイン汁を楽しむなら、鶏ガラスープで薄めない方が良い。
6)スープの味をみながら、塩・ブラックペッパーで味を調整する。
※ ブラックペッパーで辛めに仕上げると疲れや風邪・二日酔いもぶっ飛ぶ。
7)セロリの葉と筍を加えしばらく煮こむ。
8)さやいんげん、京人参を加え、ご飯を入れて沸騰させる。
9)中段の野菜を加えてひと煮立ちさせ、セロリの葉を取り除く。
※ 歯ごたえが楽しめる硬茹でに。
※ ここで焦がしバターをたっぷり、ジュッ! って、加えるのもいい。
10)器に取り分けて、パセリを散らして中央に水菜をこんもりと盛り付ける。
※ 水菜はたっぷりあると美味しい。
※ 数ある野菜の中で、紫玉ネギとアイスバインスープの相性は抜群!
紫玉ネギは無くてはならない必需品!
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